ホワイトボックス型光伝送装置向けオープンソースOS「Goldstone」に貢献
2019年11月13日

NTTエレクトロニクス株式会社は、ホワイトボックス型光伝送装置に大容量のコヒーレント光トランシーバを柔軟に実装可能とする、装置組み込みソフトウェア(OS)「Goldstone」の構築プログラムをオープンソースとしてTelecom Infra Project (以下、TIP ※1)に提供いたします。

GoldstoneはOpen Compute Project (OCP) ※2やTIPなどのオープンソースプロジェクトの成果を組み合わせた装置組み込みソフトウェア(ネットワークOS)で、本ソフトウェアを含まないハードウェアのみのホワイトボックスにインストールすることで、大容量のコヒーレント光トランシーバ※3との組み合わせによる光伝送システムを柔軟にインテグレーションすることが可能となります。TIPが提唱している、ハードウェアとソフトウェアを分離することで、個別に最適な最新技術の適用や継続的な性能改善を迅速に行うことのできる環境が実現できます。

Goldstoneは、OCPで開発されたOpen Network Linux(ONL)をベースOSとすることで、多様なホワイトボックスプラットフォームのサポートを可能にしました。その上でKubernetes※4によるコンテナベースのアプリケーションマネジメントを採用し、ソフトウェア構成の柔軟性を実現しています。EthernetスイッチASICの制御にはSONiC/SAI※5/6、コヒーレント光トランシーバの制御にはNTTが開発をリードするTAI※7を利用します。Goldstoneのモジュール型アーキテクチャにより、将来的にはEthernetスイッチASICを含まない従来型トランスポンダやROADM、光ファイバアンプなどのラインシステムのOSとしての利用も可能です。

GoldstoneはEdgecore社のホワイトボックスプラットフォームCassini向けプロトタイプネットワークOSとして開発が開始されました。現在では五つ以上の組織でCassiniの評価のために利用され、株式会社ミクシィは商用ネットワークで利用しています。またWistron社のプラットフォームGalileoにも対応しており、今後も対応プラットフォームの拡大を計画しています。

今後の予定

本ネットワークOSはTIPのOpen Optical Packet Transport(OOPT)プロジェクト※8のもとでオープンソース化され、さまざまな組織とのコラボレーションを通して開発が進められる予定です。また2019年11月13日~15日にアムステルダムで開催されるTIP summit 2019にてGoldstoneの動態展示を行います。

各社からのコメント

Goldstoneの採用は、我々のサービス提供に不可欠なデータセンタ間ネットワークに大きな柔軟性をもたらしてくれました。Goldstoneを商用ネットワークに導入した最初のオペレータとして、今回のオープンソース化により、オープンコミュニティでのコラボレーションを通した更なる機能拡充、堅牢化が行われることを期待しています。

株式会社ミクシィ 取締役執行役員 CTO 村瀬 龍馬

Edgecoreは、ネットワークオペレータに幅広い光伝送技術の選択肢が提供できるホワイトボックス型伝送装置のソリューションを、NTTエレクトロニクスを含むパートナーとの協業により実現できたことを喜ばしく思います。

Edgecore Networks President and CEO George Tchaparian

Goldstoneのオープンソース化はハードウェアとソフトウェアが分離されたホワイトボックス型ネットワーク装置の利用促進に大きな役割を果たすでしょう。Goldstoneと当社Galileoの組み合わせがネットワークオペレータにとって、魅力的なソリューションになることを確信しています。

Wistron シニアテクニカルディレクター Arthur Chang

※1
Telecom Infra Project (TIP):Facebook等が牽引する、テレコム分野のイノベーションを加速することをめざし、2016年に発足した非営利組織。
※2
Open Compute Project (OCP):Facebook等が牽引する、データセンタ分野のハードウェアやソフトウェアのオープン化を加速することを目指し、2011年に発足した非営利組織。
※3
コヒーレント光トランシーバ:ディジタル信号処理プロセッサ(コヒーレントDSP)を用いて毎秒100Gビット以上の高速光伝送を実現する光トランシーバモジュール。
※4
Kubernetes:Googleにより開発が開始され、Cloud Native Computing Foundationに寄贈されたオープンソースコンテナオーケストレーター。
※5
SONiC (Software for Open Networking in the Cloud):Microsoftにより開発が開始され、OCPに寄贈されたネットワークスイッチの操作や管理を飛躍的に前進させるオープンソースソフトウェア。
※6
Switch Abstraction Interface (SAI):OCPで開発が進められている、データセンタネットワーク装置のハードウェアとソフトウェアの分離を容易にするためのインタフェース仕様およびソフトウェア。
※7
Transponder Abstraction Interface (TAI) : TIPで開発が進められている、光伝送コンポーネントのハードウェアとソフトウェアの分離を容易にするためのインタフェース仕様およびソフトウェア。
NTT 報道発表「グローバルパートナーと連携し通信技術のオープンスタンダード化を促進」2018年10月16日
※8
Open Optical Packet Transport (OOPT) :TIP内プロジェクトグループのひとつ。光/IPネットワーキングのオープン技術、アーキテクチャ、及びインターフェースの定義に取り組む。

本件に関するお問い合わせ先

NTTエレクトロニクス株式会社
営業推進部
TEL : 050-9000-6357
E-mail:bc-dsp@ntt-el.com

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