ATMルータに関するご質問

Q1.
ATMルータとは?
A1.
ネットワークとネットワークとを中継し、ATMのインタフェースを持った装置です。ネットワーク内を流れてきたデータが外部のネットワーク宛であれば、そのデータを外部に送り出します。ルータはそのときにどういう経路でデータを送出するかまで判断し、最適なルートに送り出します。
Q2.
ATMとは?
A2.
ATM(Asynchronous Transfer Mode)とはセルと呼ばれる固定長のフレームを転送する通信方式です。ATMでは転送するデータがあるときだけセルを送信するので、「非同期」と言われています。
Q3.
インターフェースは?
A3.
インターフェースはイーサネットインタフェースとして10Base-T(10Mbps、RJ45)とATMインタフェースとしてATM25M(25.6Mbps、RJ45)があります。
Q4.
対応しているプロトコルは?
A4.
対応しているネットワークレイヤプロトコルはIPです。またICMPの一部をサポートしています。
Q5.
100Base-Tには対応していますか?
A5.
現在、100Base-Tには対応していません。
Q6.
ATMルータを設定するには?
A6.
ATMルータを設定する方法として(1)シリアルインタフェースから設定 (2)telnetを使って設定 の2通りがあります。ただし、初期の設定を行う場合はIPアドレスを設定しますのでシリアルインタフェースから設定を行ってください。
Q7.
添付品として何がついていますか?
A7.
装置本体(3P端子付電源ケーブル込み)以外に取扱説明書、保証書、FD(ダウンローダなど)がついています。
Q8.
ATMインタフェースは同軸あるいは光のインタフェースをサポートしていますか?
A8.
メタルのATM25Mインタフェースしかサポートしていません。
Q9.
EPD(Early Packet Discard)に対応していますか?
A9.
対応しています。
Q10.
VP・VC多重シェーピングに対応していますか?
A10.
VPシェーパを設定し、複数のVCの各PCR値がVPのPCR値に一致する場合のみVP・VC多重シェーピングとなります。この条件であれば、メガデータネッツのオーバーサブスクリプションを利用することも可能です。
Q11.
イーサネットは全二重モードで利用できますか?
A11.
手動設定により全二重モードに設定することができます。接続する装置側でもイーサネットの設定を全二重モードに設定できる装置として頂くことが必要です。
Q12.
シェーパの性能を示すセル遅延変動CDV(Cell Delay Variation)はどのようになっていますか?
A12.
各種設定条件、印加するパケットサイズ条件で測定した結果は50μs以下になっています。
Q13.
IP Numberedに対応できますか?
A13.
対応しています。
Q14.
ルーティングの優先順位に関してはどうなっていますか?
A14.
スタティックルーティングには2種類のコマンドが用意されていますが、送信元IPアドレスでのルーティングが宛先IPアドレスでのルーティングよりも優先されます。両コマンドにおいてネットマスク長の長い順番から検索されます。デフォルトルーティング設定はスタティックルーティングの最も優先度が低い設定となります。なお、Proxy ARP設定によるルーティングはスタティックルーティングよりも優先され、RIPを適用したルーティングはスタティックルーティングよりも優先度は低くなります。
Q15.
ダイナミックルーティングには対応していますか?
A15.
RIP(1,2)に対応したダイナミックルーティングに対応できます。RIP情報の転送にはATMポートをIP Numbered設定して頂くことが必要です。
Q16.
ルーティングできるIPアドレスはどのような種類ですか?
A16.
IPプロトコルを対象にしたスタティックルータで、ユニキャスト、ブロードキャスト(ネット・ダイレクト、サビネット・ダイレクト、オール・サブネット・ダイレクト)に対応しています.マルチキャストIPアドレスには対応していませんが、マルチキャストIPアドレスのパケットをユニキャストにより転送することは可能です。
Q17.
ATMアダプテーションレイヤは何をサポートしていますか?
A17.
AAL5のみサポートしています。
Q18.
CLP(Cell Loss Priority)タギングはできますか?
A18.
PCR(Peak Cell Rate)の範囲内で任意のMCR(Minimum Cell Rate)に対応させたCLP(Cell Loss Priority)タギングができます。MBS(Maximum Burst Size)の推奨値である256を守っています。
Q19.
GFRには対応していますか?
A19.
一部保証PVC(Permanent Virtual Channel)を用いて、保証速度MCR(Minimum Cell Rate)に対応させたCLP(Cell Loss Priority)タギング処理とフレーム単位での廃棄を行います。
Q20.
ATMポートのMTUはいくつですか?
A20.
1500(バイト)です。
Q21.
ATMポートについてMTU、MSSの設定は可能ですか?
A21.
個々のATMポートに関してMTU、MSSを個別に設定可能です。MTU設定(フラグメンテーション)により同一VCで音声パケットとデータパケットを混在させる場合、データパケット送信待ち時間を短縮することで音声品質を向上できます。
Q22.
ATMレイヤのOAM機能をサポートしていますか?
A22.
ATMレイヤのOAM機能としてTTC標準JT-1610にF4、F5フローがありますが、サポートしておりません。ATM網側から該当するセルを受信した場合には無視し、廃棄しており、ランプ表示にも反映させていません。
Q23.
工事・運用保守用にどのような機能がありますか?
A23.
ATMルータにログイン(シリアル、telnet)からpingコマンドを実行することで導通確認ができます。また、ルーティング設定された VPI/VCI番号以外のセルを受信した場合には、CHECKランプによる表示やログ情報を残します。ATMルータの設定変更の場合には自動的にリブートしますが、設定変更しないままでリブートすることも可能です。SNMP(V1) MIB-Ⅱの一部をサポートしており、sysContact、sysName、sysLocationの設定・読出などが可能です。ATMルータにログインすることでMIB変数の一部を読取ることができます。
Q24.
遠隔からの設定変更・バージョンアップはできますか?
A24.
TCP/IPで通信できる条件が成立していれば、制限なく遠隔からの設定変更・バージョンアップは可能です。もちろん、LAN側やシリアルインターフェースからも可能です。
Q25.
設定可能なVP数、VC数はいくつですか?
A25.
VPI/VCIの組み合わせで任意に16個まで設定可能です。
Q26.
フィルタ設定項目には何がありますか?
A26.
インターフェース、送受IPアドレス、プロトコル(TCPかUDP)、送受ポート番号、TOSフィールドにより、通過、破棄、優先(最優先と優先の2種類)を設定できます。送受ポート番号とTOSフィールドについては番号の範囲を指定することも可能です。
Q27.
どのようなATMサービスと接続可能ですか?
A27.
ATMのPVCサービスと接続可能です。NTTコミュニケーションが提供するATMメガリンクサービス、ATMシェアリンクサービス、NTT東日本・ NTT西日本が提供するメガデータネッツ、NTT-MEが提供するXePhionなどや、NTTコミュニケーションが提供するスーパーリレーCRの接続形態PVCがあります。
Q28.
precedenceビット処理とは何ですか?
A28.
IPヘッダのTOS(Type of Service)1バイトの上位3ビットがprecedenceビット(RFC1349参照)です。パケットの優先度を示すことができ、ATMルータで変更設定するprecedenceコマンドを設けています。最優先パケットを2~7の任意の数値、優先パケットを1、非優先パケットを0にします。フィルタコマンドと連携することで最優先パケット、優先パケットを設定します。ATM専用腺(ATMメガリンクサービス、メガデータネッツ)によりNTTコミュニケーションが提供するIP-VPNサービスを利用する場合の優先制御サービスに連動できます。
Q29.
NATについては何をサポートしていますか?
A29.
Static NATとNAPTをサポートしています。Static NATを適用することで、外部ネットワークからLAN側へのホストと通信することができます。Static NATの場合にはプロトコル、ポート番号を指定できます。アプリケーション対応でMicrosoft NetMeeting 3.0、PPTP(RFC2367)、FTP PASVモードのプロトコルに対応しています。
Q30.
ポリシールーティングはできますか?
A30.
対応していません。
Q31.
DHCPサーバ機能はありますか?
A31.
LAN側ホストにIPアドレスを払い出すDHCPサーバ機能(RFC2131準拠)をサポートしています。特定のホストにIPアドレスを固定割り当てもできます。
Q32.
ブリッジ機能をサポートしていますか?
A32.
サポートしていません。
Q33.
Proxy ARPをサポートしていますか?
A33.
ネットマスク付で16エントリーまで可能です。
Q34.
パケット処理能力はどの程度ありますか?
A34.
設定条件による違いはありますが、64バイトUDPパケットでイーサネットからATMインタフェースのパケット処理能力は、 1VP1VC設定の場合で6,840PPS、1VP16VC設定の場合で5,070PPSというう試験結果を得ています。TCP/IPで52MBのFTP を行った場合の最高性能としては、SUNワークステーションをサーバとしWindowsPCをクライアントとし、1VP1VC(PCR=11Mbps)でイーサネットを全二重モードにした時9.39Mbpsという結果が得られています。
Q35.
ATM回線に関する帯域の設定単位はいくつですか?
A35.
1kbps単位でシェーパのPCRを設定することが可能です。可能な設定範囲は0.001Mbpsから24.000Mbpsとしていますが、イーサネットインタフェースが10Base-Tであるため、実効的に意味のある最大設定範囲は11.000Mbpsとなります。mCRについては0.000MbpsからVCのPCR値まで1kbps単位で設定可能です。
Q36.
フリーズした場合はどのようになりますか?
A36.
想定していない条件でファームウェアが止まりフリーズしてしまう場合がありますが、ハード的にWatchDog Timerがかかり、自動的に起動します。最新のエラー情報はログ情報として残ります。
Q37.
MTBF(Mean Time Between Failure)はどうなっていますか?
A37.
見積推定値は17年です。実績値としては数倍長くなっています。
Q38.
ATMルータの設定手順に制約はありますか?
A38.
例えば、ATMインタフェースの設定をしないで、ルーティング設定をするとパラメータエラーとなるなどの制約があります.設定手順の基本としてはイーサネットインタフェース、ATMインタフェース(ATM回線、各回線の記述)、IPルート、フィルタ、その他の順番で入力して下さい。なお、テキスト情報として設定データを作成し、ATMルータへログインしてからペーストする方法が簡単で便利な方法ですのでお奨めします。

ページの先頭へ